後席の3点式シートベルト

日産NV200バネット

日産からNV200バネット(写真)が発売されたので、会社帰りに販売店に現物を見に行った。商用車ベースのバネットに、乗用車仕様も設定されたという。ちょうどルノー・カングーの位置づけにも似ていたので、興味を持った。で、気になったのが2列目シートの真ん中が3点式シートベルトでない点。

ホンダ・フリード
ホンダ・フリード

2列目シートの中央席の2点式シートベルトについてはホンダ・フリードでも気になっていた。我が家のように大人二人、小さい子ども二人の家族構成では、乗降性の良い後席スライドシートで荷物を多く詰めるミニバン・ワゴン系が機能的に使い易い。最近では経済性やエコロジーを考えて、あまり大きくない車種が良い。やはり5ナンバー枠が、日本の国内事情に最もマッチしている。

なのでカングーはベストセレクションと考えるのであるが、毎日通勤100kmの酷使に疲労困憊気味のカングーさんなので、そろそろポストカングーも念頭に入れておかなければいけないかなと思う今日この頃である。そこで候補に挙がったのが、フリードやこのNV200である。トヨタアルファードや日産エルグランドはでか過ぎて論外。5ナンバー枠のホンダステップワゴンや日産セレナでも少し大きく感じる。

個人的に、我が家のような家族構成では3列シート(7、8人乗り)は不要と思っている。跳ね上げ式にせよ、床下収納式にせよ、しょせん3列目は取って付けた様なお粗末なシートだ。3列目の乗員姿勢やスペースの確保にも限界がある。であれば、最初からなくても良い。田舎から両親が出てきたときに乗せるため必要という声もあるが、いったいそのようなシチュエーションが年に何回あるのだ。そんなときはレンタカーの対応で十分。いつか役に立つかもしれないと思うのは、モノを捨てられないのと同じで実に貧乏くさい発想だ。1脚15kgとして2脚で30kg、こんな重量を常時無駄に輸送しているなんて、環境負荷にとってもマイナスだ。

我が家のKangoo後席
我が家のKangoo後席

さて、話が横道にそれたが、2列目シートの件に戻る。小さい子どもがいれば、当然チャイルドシートの装着が必要になる。しかし2点式シートベルトの場合、通常のチャイルドシートは装着できないのである(市販品の大半は3点式対応)。とすれば、我が家の場合、NV200でもフリードでも、チャイルドシートは2列目の右側と左側にしか装着できない。真ん中が歯抜けである。そんな歯抜けの場所に、親がごそごそと跨いで乗らなければならないのだろうか。その点、カングーの後席(2列目)シートは全て3点式シートベルトなので、どこでも装着できる。我が家の場合、右席と中央席を子ども、左席を妻が利用している。

親は前席に乗ればいいというかもしれない。しかし、それも使い手に対するイマジネーションが無さ過ぎる。小さい子どもはとかく手がかかるものだ。運転中でも飲み物にお菓子、場合によっては車酔いした場合の世話もしなければならない。そういう状況を考えると、子どもの横に親が座った方が何かと都合がよい。親と視線が一緒なので、子どもの安心感も違う。そういうニーズに対して、2列目シートにチャイルドシートが左右2座にしか置けないのは、あまりにもお粗末だ。3人子どもが居る場合は、どうするのだろう?カングーの場合、ジュニアシートであれば3座全てに装着することが可能だ(ベビーシートはちょっと無理か)。

衝突実験前 衝突実験後
(左)衝突実験前(右)衝突実験後

この後席中央の3点式シートベルトの有無、本来の安全性能の面でも全く違ってくる。昨年6月から後席シートベルトの着用が義務付けられたが、上記の写真は、JAFが2007年に行った衝突実験の様子で、手前に3点式ベルトを着用、中央に2点式ベルトを着用、奥にベルト非着用のダミー人形を放置した場合の乗員挙動の違いを示している[1][2]。ベルト非着用は論外だが、2点式ベルトを着用していても、乗員の上体は大きく前傾する。つまり腹部だけで全荷重を支えることになるため、最悪腹部へのダメージを与える。一方、3点式ベルトを着用した場合、乗員挙動の変化は極めて限定的になる。

[1]によれば、後部中央席の2点式ベルトは日本車の9割が採用しているそうで、国土交通省も昨年、クルマの中央も左右の座席同様に肩からタスキのようにかける「3点式」にするようメーカー側に義務付けたが、2012年までに実施するとの猶予期間が付いている。法律で規制されていなければ手を抜く日本のメーカーの実態がこういう細かい点を見ると、わかるのである。

一方、97年に市販されたカングーは後席全部に3点式ベルトを採用。これだけでカングーの評価は格段に上がる。なのに新型カングーは「カングー⇒ラーダ・ニーヴァ」でも紹介したように、3ナンバー枠で大型化、全幅にいたっては1.8m超と、日本国内ではありえないサイズになってしまった。

NV200インテリア
NV200インテリア

NV200の話に戻るが、内装の鉄板むき出しはカングーと同じで悪くない。エクステリアデザインも同じ日産セレナに比べれば、スタイリッシュになったと思うが、フリードに比べれば平凡。カラーバリエーションも、もう少しソリッド色があってもよいのだが。また、2列目シートはスライドせず、3列目への乗降は困難だ。やはり3列目は無用の長物。欧州仕様にはある、観音式リアゲートも国内では未設定。

サスペンションも前後板バネ(リーフリジッド式)で、商用車はまだしも乗用車の乗り心地にどのような影響を与えるか不安である。エンジンも、フリードと同じ1.5Lを採用せず、わずか100ccアップの1.6Lとした点も自動車税の観点からマイナスポイントだ。

価格も決して安くないと思えた。乗用ワゴングレードの16Sで186万円、しかも乗用ワゴングレードのみ税制優遇対象外とはどういうことだ。エコ車ではないということか。ハイブリットのホンダインサイトが180万円台、新型プリウスが200万円台であることを考えると、商用車に毛の生えた車がこの値段とは割り高感はいがめない。最近のハイブリット車の価格設定は、明らかに自動車の価格破壊を行った。ハイブリット価格が購買基準になるもんね。確かに商用バングレードはそれなりに安いが、4ナンバーで毎年車検の選択はない。

デザインや排気量、2列(5人乗り)仕様がある点で、フリードにアドバンテージがある。NV200も2列5人乗りの乗用仕様と、フリードにない観音開きを設定して、価格をもっと抑えてくれれば、また魅力は出てくるのだが(試乗はしていないので運動性能は全くの未知数です)。勿論、両車とも、2列目シート中央席ベルトの3点式化は是非望みたい。

魅力的なKangoo
魅力的なKangoo

それにしても、商用車としても乗用車としてもまじめに設計しているカングーと、商用車のおまけのノリで乗用車を作りましたとしか思えないNV200。同じルノー・日産グループで、似たようなコンセプトでも、商品企画と設計の本気度がまるで違って見える2台。改めて、カングーを手放せなくなった。

[参考・引用]
[1]後部座席のシートベルトが義務化 国内メーカーの対策は万全か?2007年8月5日、読売ウィークリー、
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/yw/yw07080501.htm
[2]後席シートベルトの効果と必要性!「出会い頭事故を想定した衝突テスト」、社団法人 全国自動車運転教育協会、
http://www.zenjikyo.com/kotsu/03/01.html
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[ 2009/05/28 20:25 ] Kangoo | TB(0) | CM(0)

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