トヨタ・パトロールFS40

パトカーぱとくん」に登場する懐かしいクルマたちの実物を調べてみた。本書は1969年(昭和44年)が初版なので、それ以前のモデルということなる。まずは、パトカー1号である。これは、フロントグリルとテールランプに特徴があるトヨタ・クラウンの2代目、S40型がモデルだ。

パトカー1号その1 パトカー1号その2
パトカー1号(「パトカーぱとくん」より)

クラウンS40型パトカー仕様(前) クラウンS40型パトカー仕様(後)
クラウンS40型パトカー仕様
出典:http://www.maeda-auto.com/car/special/c15_m.html

クラウンS40型は1962年から67年に製造、ちょうど私と同い年だ。先代のS30型からはずいぶん近代的に変身した。外観の特徴としては、「涙目」と呼ばれるテールランプとトヨタの頭文字である「T」をモチーフとしたジュラルミン製のフロントグリル。パトカー1号はこのいずれの特徴も備えている。ただし、丸目4灯の内側2灯はフォグランプに置き換わっている。エンジンは「4R型」と呼ばれる直列4気筒・1900cc/90ps(1965年から「M型」の直列6気筒・2000cc搭載)で駆動形式はFR [1][2]。しかし[3](ミニカーを中心に古いパトカー情報満載のサイトです)によれば、S40型に対応する警察車両は「トヨタ・パトロールFS40」といい、「F型」のエンジンを搭載していたとのこと。「F型」は、直列6気筒・3878cc/110psのガソリンエンジンで、市販車とは全く別の車に仕立てられている。

クラウン S40型
クラウンS40型

また、日本が舞台となった「007は二度死ぬ」(ルイス・ギルバート・監督、ショーン・コネリー・主演、1967年英米)では、ボンドカーのトヨタ2000GTを黒塗りのS40が追いかけるシーンがあるそうだ[4]。当時の日本を代表するクルマだったのだろう。

覆面パトカーその1 覆面パトカーその2
覆面パトカー(「パトカーぱとくん」より)

覆面パトカー。このモデルの車種がどう探しても見つからない。下の写真(ミニカーの)をみると、日産・初代サニー1000(1966年発売)に似ていなくもないが、どうも決定的な確証を得られない。サニーよりは車格が上のような気がするのだけれども。どなたか、わかる方教えて下さい。

日産・初代サニー1000
日産・初代サニー1000
出典:http://okoriman.blog.fc2.com/blog-entry-37.html

スポーティは、この特徴的な外観から、まぎれもなくマツダ・コスモスポーツだ。この車は世界初の実用・量産ロータリーエンジン搭載の2シータークーペモデルとして発売、1967年から72年に製造された。過去に「ウルトラマンと特装車両」で紹介したように「帰ってきたウルトラマン」(ウルトラマンジャック)の戦闘部隊MATの専用車両マットビハイクルとしても登場した。(初代「ウルトラマン」を見せてからというもの、息子は完全にウルトラフリークになってしまった。)

スポーティ
スポーティ(「パトカーぱとくん」より)

コスモスポーツには大きく分け、1967~68年(昭和42~43年)に発売された前期型L10ALと、翌年の1968年(昭和43年)にマイナーチェンジされた後期型L10Bの2タイプがある。外観上の違いは[5]によれば、フロントグリルとリアバンパー、サイドウィンカーなどである。フロントグリルは前期型が縦スリット型で、後期型が大きく、ブレーキ冷却口があることになっているが、挿絵を見るとどちらでもないような。リアバンパーは、前期型のリアサイドバンパーは長く、後期型は短い。挿絵を見ると後期型のようだ。サイドウィンカーは前期型が丸型で、後期型が横長型なのだが、後期型にも昭和43、44年モデルには丸型があったそうなので両方の可能性もある。以上から判定すると、スポーティくんはマツダ・コスモスポーツ後期型のようだ。

警視庁に寄贈されたコスモ・スポーツ
警視庁に寄贈されたコスモ・スポーツ[6]

[6]によれば、前期型がマツダ(広島東洋工業)より警視庁に寄贈され、警視庁の高速道路交通警察隊の車両として、中央道に就役した可能性があるとの興味深い考察をされている。なのでスポーティが高速道路を走るシーンは、中央道がモデルかも。

いだてん1号、2号
いだてん1号、2号(「パトカーぱとくん」より)

カワサキメグロ500
カワサキメグロ500[7]

バイクには乗らないのであまり詳しくないが、いだてん(韋駄天)1号、2号は昭和30年代後半に活躍したカワサキメグロ500がモデルではないかと思う。白バイの活躍期から推定すると対象となるのはメグロ500、カワサキメグロ500、ホンダ305、ホンダCB350までだが、外観をみるとカワサキメグロ500 が一番近い[7][8]。

ミニカー/スバル360パトカー 
ミニカー/スバル360パトカー
出典:http://www.cafetime.jp/s_kokusan_kakudai/time_ra80/s_time_ra80_subaru360_2set_patrolcar.html

最後に主人公ぱとくん。これは間違いなく富士重工、スバル360。ボンネットにスリットがないこと、サイドフラッシャーランプが付いていることから、’67年式以降の後期モデルと思われる[9]。スバル360のパトカー仕様はミニカーやプラモではお目にかかるのだが、実物の写真が見つからなかった。昭和の時代、ぱとくんは本当に存在していたのだろうか。

[2009.3.30追記]
スバル360の本物のパトカーは存在したか?この疑問に対し、引用させていただいたサイト「ノスタルジック・パトロールカー」の主宰者ノスタルPC様から以下の回答をいただいた。
『「スバル360」のパトカーですが、私は個人的には存在を怪しんでいます。 パトカーの重要な能力として、容疑者車両の「追跡」があげられます。初期のパトカーは、そのためのパワーを得るために、ランドクルーザーやトラックのエンジンを積んでいたほどなのですが、この点から考えると、スバルの360ccエンジンは、いかにも非力と考えられます。

通常の「自動車警邏」はあきらめ、いわゆる「ミニパト」任務であればこなせそうですが、一応「ミニパト」の登場は1972年8月8日ということになっており、車種はホンダ・ライフ/スズキ・フロンテなどでした。スバル360は1969年8月に生産終了しており、R2にバトンタッチしているので、この点でも実在の確証には至りません。広報車・連絡車のような役割であれば、全国のどこかの警察に無かったとは言えないのですが、実際の写真は私も見たことがありません。

ミニカーのバリエーションとして、たくさんのパトカーが作られますが、実車を取材したり、考証したりして製作されたものは極めて少数で、大半はミニカーのカラーバリエーション(乗用車モデルを白黒に塗ったもの)として作られるのが実情です。ですので、ミニカーを見たり、手にした方が、そのミニカーのパトカーが実在したと思われるのもムリからぬことなのですが、実在しないものの方が多いと言ってもいいぐらいです。』
広報車でもいいので実車のスバル360パトカーを見てみたいものだ。ノスタルPC様、ありがとうございました。



[参考・引用]
[1]トヨタ・クラウン、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3
[2]1962年 トヨペット クラウン デラックス、名車館、GAZOO.com、
http://gazoo.com/meishakan/meisha/shousai.asp?R_ID=775
[3]60系トヨタパトロール・型式調査報告、日本のパトカー考証館、ノスタルジック・パトロールカーの世界へようこそ…。、
http://2nd.geocities.jp/nostalgicpc/60crown.html
[4]RS40型、トヨタクラウン、2009年02月18日、人間、、辛抱だっ!
http://minkara.carview.co.jp/userid/240223/blog/12198053/
[5]前期型・後期型の比較、Cosmo Sport、
http://cosmosport.net/cosmosport.htm
[6]ロータリー高速隊-Mazda Highway Pursuits、日本のパトカー考証館、ノスタルジック・パトロールカーの世界へようこそ…。、
http://2nd.geocities.jp/nostalgicpc/mazda.html
[7]白バイ50年物語、明るい信濃現行警察法施行50周年記念号、
http://www.pref.nagano.jp/police/shinano/08sirobai-1.htm#白バイ物語
<以下に更新、2016.8.16修正>
白バイ今昔物語、長野県警察ホームページ、2014年11月1日更新、
http://www.pref.nagano.lg.jp/police/rekishi/siro.html
[8]白バイ、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E3%83%90%E3%82%A4
[9]スバル360モデルの変遷、SUBARU博物館、
http://www.subaru.jp/about/spirits/museum/subaru360/03.html
[10]県警フォトギャラリー、高知県警察HP、
http://www.i-kochi.or.jp/hp/kenkei/keimu/soumu/photo_gallery.html
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コメント

  1. マイケル村田 | KNhTEm9c

    スタント要員の40系クラウン!?

    パトカーぱとくんに登場していた4台のうち、40系クラウンは1970年代のアクション映画や刑事ドラマにおいては何気にスタント要員となっており、白パトだろうが、通常でも、破壊する事が多かったみたいですね…。 殆どが劇用車であため、タク落ち車や教習車上がりの物が多かったとか…。 特に「太陽にほえろ!」や「暴走パニック 大激突」、「狂った野獣」等…。

    追記 あのパトカーぱとくんに登場した覆面車は多分、こち亀の大原大次郎が憧れていたいすゞベレルだと思いますが…?

    ( 20:57 [Edit] )

  2. papayoyo | -

    Re: スタント要員の40系クラウン!?

    マイケル村田様
    コメントありがとうございます!
    40系はスタント要員。言い得て妙です。なるほど言われてみれば、当時テレビや映画で良く見た40系は、常に壊される運命だったような気がします。当ブログ「TopGear 50 YEARS OF BOND CARS」でもトヨタ2000GTとのカーチェイス場面のYouTubeを貼りましたが、最後は哀れでしたね。
    そして覆面パトはいすゞ・ベレルとのこと。
    改めて調べてみましたが、フロントは縦型デュアルではない前期型のようですが、リアは前期型の特徴である三角テールではなく後期型っぽいですね。さすがに覆面パトにリアの三角テールは前衛的過ぎたのでしょうか。ただ凡庸になった後期型テールともちょっと違うような。
    http://www.webcg.net/articles/-/11548
    貴重な情報ウレシイです!

    ( 22:43 )

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