ルーマニアが面白い、ダチア・ロガン

Dacia Logan Pick Up

この写真のピックアップトラック、どこのブランドの車かご存知だろうか?正解は、ダチア(Dacia)。ダチアはルノー社傘下の、ルーマニアの自動車会社である。一見、今でも人気の小型ピックアップ、ダットサン・サニートラック(通称サニトラ)をちょっとスタイリッシュにしたような車。これ、日本でも買えるのである。

ダチアとはルーマニアの旧称「ダキア」が由来である。1966年に「UAP」の名前で設立され、ルノー8をノックダウン生産した。私よりも若い自動車会社だ。1980年代はルノーと離れ、独自モデルを開発するも、チャウシェスク独裁政権が倒れた1989年のルーマニア革命前後に業績は悪化、1999年にルノーが株式の過半数を取得してルノー傘下に収まった[1]。

Dacia Logan Sedan
Dacia Logan Sedan

2004年にニューモデルの「ロガン」を発表。既存ルノー車のコンポーネントを巧みに組み合わせ、6,000ユーロ(1ユーロ=125円として約75万円、西欧仕様は7,500ユーロ~、同94万円)という驚異的な低価格でまず4ドアセダンを発売、大ヒット車となる。その後、ステーションワゴン、バン、5ドアハッチバック、ピックアップトラックと派生車が続々登場している。

ホンダ・アコードツアラー
ホンダ・アコードツアラー

私のセンサに引っかかったのが、このロガンピックアップとステーションワゴンである。最近は日本ではステーションワゴンはまったく振るわないそうだが、逆に私はこのステーションワゴンに関心が出てきた。もともと積載性の良い車に興味があるのだが、大概は似たような1ボックスカー。その点、ステーションワゴンはスタイリッシュで、荷物車としての機能要求も満たす。当然ステーションワゴンの本家、欧州メーカーには良いワゴンがたくさんあるが、値段が高くてとても庶民の手の届く代物でない。国産ではスバル・レガシーも良いし、最近登場したホンダ・アコードツアラーも気になるがちょっと大きめ。日本で乗り回す価格もサイズもお手頃なステーションワゴンがないのだ。

Dacia Logan MCV
Dacia Logan MCV

と、あるとき目にとまったのがロガンのステーションワゴンMCV( Multi Convivial Vehicle)。なかなか良いではないか。フロントはシンプルなロガン顔で、サイドビューも嫌味がなく、きれいにまとまっている。注目はリアゲートの観音開き。3列シート仕様もあるらしい。全体的にルノーカングーをちょっと伸ばして、上下を圧縮した雰囲気を持つ。ちなみにサイズは、全長:4,450mm(3,995mm)、全幅:1,735mm(1,675mm)、全高:1,640mm(1,810mm)、ホイールベース:2,900mm(2,600mm)、()は現行カングー値であるが、全幅は1.7m超なので5ナンバー枠内に収まらないものの、新型カングーの1,830mmよりはまとも。現行カングーオーナーにとっては、自然と許容できるデザインとサイズだ[2]。

MCVリアゲートは観音開き
MCVリアゲートは観音開き

エンジンは直列4気筒の1.4Lと1.6Lガソリンエンジンと、1.5Lディーゼルエンジンが用意されている。燃費は高速道路など100km/hプラスの速度でクルージングするなら20km/リッター以上、市街地でも18km/リッターの好燃費だそうだ。MCVの価格は、フランス国内で8,900~1万2,890ユーロ(111万~161万円)[3]。

MCVはサイドビューも美しい
MCVはサイドビューも美しい

日本に馴染みのないルーマニア車であるが、並行輸入であれば日本でも手に入れることが出来る。私もたまに小物を購入する㈱ル・パルナスで扱っており、1.6L直4ガソリン仕様(勿論、左ハンドルだが)が198万円 (税込)。ハイブリットのホンダ・インサイトが189万円(驚異的なコストパフォーマンスだ)なのを考えるとちと高く感じるが、現行カングーよりは安い。日本でも結構ユーザーはいそうな気がするが、ミッションが5速マニュアルだけというのが、日本市場でのネックかなあ。
http://blog.le-parnass.com/index.php?e=586

ところで、ベース車台はルノー・日産共同開発のBプラットフォーム(これはマーチやティーダと同じ)なので[2]、日産の工場でも作れるはず。ルノー・ジャポンよ、巨大になる新型カングーはいいので、このMCVを安く日本国内に導入してくれ~!

いいねピックアップ
いいね!ピックアップ

これよりもっと若者受けしそうなのが、冒頭で紹介したロガン・ピックアップ。サーフボードが良く似合う。ボディサイズは全長:4,496mm、全幅:1,735mm、全高:1,554mm。エンジンは1.6L直4ガソリン・エンジンと、1.5L直4ディーゼル・ターボの2仕様で、ミッションは5速マニュアル。価格は7,250ユーロ(91万円)から。あの「サニトラ」以来、小ぶりなピックアップの存在は記憶がないが、これが日本で走れば、湘南界隈のサーファーたちに受けそうだ。

ピックアップは海が似合う
ピックアップは海が似合う

これも同じく㈱ル・パルナスで扱っており、1.6L直4ガソリン仕様で178万円(税込)。もうちょい安値を期待したいが、これは結構日本でもいけるんでねえの。もっと宣伝してほしい。日本ではあまりにも認知度が低すぎて、もったいない。トヨタもホンダも日産も、ベンツもBMWもワーゲン、プジョーももうおなかいっぱい。これからはルーマニア、ダチアだね。

若者がクルマから離れ、経済クライシスでさらに自動車需要が鈍化した現在、このようにシンプルで安い遊び車は結構受けるのではないかと思う。最近のクルマは皆、立派になりすぎた。若者のクルマ離れは、クルマに関心がないのではなく、彼らの購買欲を掻き立てる商品がないのだ。また、かつて「サニトラ」を愛用した団塊世代にも受けるかもしれない。カングーのように、並行輸入から火がつくと面白いのだが。

サニトラ
サニトラ

[参考・引用]
[1]ダチア、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%81%E3%82%A2_(%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A)
[2]ダチア・ロガン、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%82%AC%E3%83%B3
[3]ダチア・ロガンMCV 1.5 dCi(FF/5MT)【海外試乗記】、webCG、
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/i0000018534.html?pg=1
[4]ダチア・ロガンにピックアップ・トラックが新登場、2008年2月20日、ホビダスオート、
http://www.hobidas.com/auto/newcar/article/80563.html
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[ 2009/03/14 02:28 ] cars/車のお勉強 | TB(0) | CM(2)

チャウシェスクの民生改革

1966年といえばチャウシェスク政権が成立したばかりのころ。のちに大独裁者となる若き書記長は国民にクルマを与えたのですね。(同じころ旧ソ連ではブレジネフ第一書記のもと、伊フィアットとの提携でラーダを生産していますね。しかもこのクルマの生産拠点はトリヤッチといって、構造改革という新しい社会主義運動を唱えたかつてのイタリア共産党書記長の名から採った町です。このころのソ連や東欧では国民の生活水準向上のための改革が試みられたという一面も忘れてはいけないのではないかと思わされます。)
[ 2013/10/24 17:18 ] [ 編集 ]

Re: チャウシェスクの民生改革

ルーマニアマニアさん、コメントありがとうございます。政治の良し悪しは別にして、冷戦以前のソ連や東欧は我々とは全く異なった価値観で生活をしていたので、生活には欠かせないクルマも、何か新鮮に映るのかもしれません(旧ソ連時代からのヴォストークという時計ブランドがあるのですが、手巻式の軍用時計が気に入って入手したものを持っています)。このクルマは東側倒壊後に開発・生産されたものですが、ユニークな文化は継承されているということでしょうか。
[ 2013/10/24 21:53 ] [ 編集 ]

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