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きいろいタクシー  

きいろいタクシー

本日取り上げるのは「きいろいタクシー」(渡辺茂男・作、大友康夫・絵、福音館書店)、個人タクシー運転手、すぎやまさんが主人公の絵本だ。「きいろいタクシー」はシリーズ化されていて、続編「きいろいタクシーそらをとぶ」、「ふしぎなタクシー」の三部作となっている(たぶん)。この第一作目はなかなか手に入らず、最近ようやく入手できたので紹介しようと思う。

不特定多数の人々が乗り降りするタクシーにはドラマが付き物だ。有名な「車のいろは空のいろ」シリーズ(あまんきみこ・作、北田 卓史・絵、ポプラ社)もそうであるが、タクシーを題材にした絵本・児童書は複数の短編ドラマを束ねた作品が多い。本作も5本の物語が挿入されており、どれも楽しいお話に仕上がっている。

「きいろいタクシー」その1

車好きの渡辺さんの作品らしく、ところどころに見られる車の描写が細やかだ。すぎやまさんがガソリンスタンドでタクシーのオイル交換を頼む場面がある。「わかいひとが、リフトのしたから、きいろいタクシーの したについている オイルぬきのせんを はずしました。きいろいタクシーは、まるで おへそを ぬかれたような きがしました。すると、エンジンのなかから、ふるくなった くろいオイルが、たらたらたら したにおいた あぶらうけの なかに ながれおちました。」自分でオイル交換をやったことがある人には、ドレインボルトをはずしてオイルパンにオイルを落とすことは、馴染みのある光景である。めんどくさがり屋の私はもっぱらディーラーに任せっきりだが。

「バッテリーも しらべて、へっていた バッテリーえきを たしました。」バッテリー液の補充も最近はやらないなあ。

雨の山道での走行場面。「どうろがせまくなって、あたりは、もっと くらくなりました。きいろいタクシーは、ヘッドライトを ちかちかっと うえむきに してみました。」ここの描写も「・・・くらくなりました。」で終わってもいいところを、あえて夜の山道走行で常套手段のハイビームに切り替える動作を加えるのは、渡辺氏のこだわりだ。

どれも普段車の運転をしている人には当たり前な事柄なのだが、児童書の名手、渡辺茂男の手にかかれば、自動車を点検したり、運転したことがない子どもたちには、車という機械が見たこともない動物のように新鮮に映るのであろう。

「きいろいタクシー」その2

黄色いタクシーというと、ニューヨークのイエロー・キャブ(Yellow Cab)が有名であるが、何ゆえ黄色なのか?これは、Yellow Cab Companyの創始者が、シカゴ大学(University of Chicago)に依頼した調査の結果の「黄色は一番見つけやすい色」という事によって決められたそうだ[1]。そういえば、渡辺氏はニューヨーク公共図書館に勤務されていたので、黄色いタクシーは身近な乗り物だったに違いない。しかし、この「きいろいタクシー」のモデルは、ロンドンタクシーで有名なオースチン・FX4だ。こちらは黒塗りのブラックキャブ(Black Cab)として知られる。ロンドンは何ゆえ黒なのか。紳士の国では、タクシーは目立たず、さりげなく走らなければならないのか。とはいえ、すぎやまタクシーはほんわかと明るい黄色がよく似合う。

作者の渡辺茂男氏については「くるまはいくつ?」の紹介を参照されたし。作画の大友康夫氏は、1946年、疎開先の埼玉県秩父で生まれる。さまざまな職業を経て、わが子に触発され絵本を描き始めた。著書に「くまくんの絵本」シリーズ(福音館書店)、「くまたくんのえほん」シリーズ(あかね書房)、「ざりがにのおうさままっかちん」(福音館書店)などがある。

すぎやまさん 斉藤暁さん

それにしても、大友氏の筆による人懐っこいキャラクターの主人公すぎやまさん(上左)、俳優の斉藤暁(上右)に似ていると思うのは私だけであろうか。

[1]Yelllow Cab、Wikipedia、
http://en.wikipedia.org/wiki/Yellow_cab
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Posted on 2009/01/28 Wed. 20:04 [edit]

category: picture books about automobile/クルマノエホン

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コメント

きいろいタクシー

私の父の本、とりわけ懐かしい「きいろいタクシー」を取り上げてくださり、ありがとうございます。長らく絶版なので、こんな本があったことさえ忘れていました。我が家は1972年にロンドンに住んでいたので、ロンドンタクシーにはよく乗りました。タクシーと言えば、父の恩師でサンフランシスコ在住だったアメリカ人教授が「チェッカー」という名前のタクシー用車を自家用車にしていたこともありました。これに9歳の私も乗りましたが、あまりのでかさに驚愕しました。ロンドンに行く前に我が家はアメリカにいましたが、その時は偶然ですがこのチェッカーモーターズがあったミシガン州のカラマズーという町で生活しました。父は、日本ではあまりタクシーに乗らない人間でしたが、外国に行ったときだけは、その国のタクシーに乗るのを楽しみにしていました。知らない土地で、少しはらはらしながらタクシーに乗るのは、スリルがあるものですよね。

それから、この本の絵描きの大友さんは、確か若い頃に清掃車の運転手をしていたことがあるとご本人に聞いた覚えがあります。「黄色いタクシー」に清掃車が登場するのは、大友さんの影響もあったのかもしれませんね。

URL | わたなべてつた #-
2009/03/05 19:48 | edit

チェッカー

鉄太さん、お久しぶりです。毎度毎度、関係者しか知り得ない貴重な情報をご提供いただき、ありがとうございます。渡辺家はロンドンにも住んでいらしたのですね。「きいろいタクシー」は表紙に雰囲気があって好きな絵本です。正面から見たFX4の顔がいい。ロンドンタクシーは乗客のことをよく考えた車だと思います。NYのイエローキャブで増殖しているホンダオデッセイもタクシーに合う車だと思います。日本のタクシーの自動ドアもよいアイデアだとは思いますが、やはり3ボックス車の乗降性には限界を感じます。日本にも斬新なタクシー専用車が登場するといいのですが。「チェッカー」は不勉強で知りませんでした。調べてみると、正式には「チェッカー・マラソン」というらしいです。そういえば古い映画などでよく目にするレトロな車ですね。映画「タクシードライバー」で、主人公の乗るタクシーが、この「チェッカー」だということも知りました。いずれまた記事にしようと思います。

URL | papayoyo #-
2009/03/06 21:50 | edit

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