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楽しいクルマ絵本の世界/エンスーのためのクルマ絵本ライブラリー

ヤンときいろいブルンル  

ヤンときいろいブルンル

今回はワーゲンが主人公の絵本を紹介する。子猫のヤンと黄色いワーゲン・ビートル、ブルンルとの交流を描いた『ヤンときいろいブルンル』(やすいすえこ・文、黒井 健・絵、フレーベル館)。

子猫のヤンは、日曜日になると、エリちゃんの家族とブルンルでドライブに出かける。
「ブルンルはどこにでも走っていけるんだね。」と羨ましがるヤン。
「オンボロにみえても、まだまだポンコツしゃないからね。」と笑って答えるブルンル。
二人は大の仲良しだ。

「ヤンときいろいブルンル」その1

でも、走っているときに、いきなり壊れることが多くなったブルンル。
「またか、このポンコツめ!」とパパ。
「もうこんなポンコツいやよ」とママ。
でも、エリちゃんだけは、ブルンルの味方だった。

ある日、ヤンが散歩から帰るとガレージにブルンルがいない。車庫には見知らぬ赤い自動車が。数日後、ヤンは家族の会話を聞いた。
「あれが売れて、本当に助かったよ」
「わたしも今の自動車、だーいすき。だってポンコツよりかっこいいもん」とエリちゃん。

驚いたヤンは、ブルンルを探しに外へ飛び出した。
「ブルンルー、ブルンルー」
探せども、探せどもブルンルは見つからない。はたしてブルンルとヤンは再会できるのだろうか…。

「ヤンときいろいブルンル」その2

黒井 健さん独特の紗のかかったイラストが、切ないストーリーを引き立てる。まだ幼稚園に上がる前の息子にはよく読んで聞かせたが、「ブルンルー!」と探し回るヤンを悲しげな声で表現すると、心配そうにじいーっと聞き入っていたっけ。娘も好きな絵本の一冊だ。

ワーゲン・ユーザーには多かれ少なかれ心当たりのある話なのではないだろうか。今でこそ、車の病院へ行くことがほとんどなくなったが、この本を良く読んでいた頃は、我が家のカングーもしょっちゅう故障していた。前述のパパとママの会話も、どこかで聞いたことのあるような…とドキッとしたことを思い出す。でも、カングーさんはまだ売り飛ばされていません。

「ヤンときいろいブルンル」その3

イラストに描かれたビートルは、リアウィンドウとフロントバンパーの形状から通称“アイロンテール”の1968-1972年式のものと思われる[1]。ワーゲン・ビートルにはほとんど乗ったことがないのだが、中学生の頃、友達のお父さんの所有するワーゲンに乗った記憶がある。故障が多かったかは定かではないが、フラットで硬い後席に座って、非常に乗り心地が悪かった印象だけはよく覚えている。ワーゲン・ファンにもちょっと切ない話だな、この絵本は。

作者のやすいすえこさんは、1956年、東京都生まれ。コピーライターを経て、1978年頃から絵本のシナリオ、童話を書く。作品に『はらぺこおおかみ』(金の星社)、『うさぎのさっちゃん』シリーズ(小学館)、『パパだいすきママだいすき』(岩崎書店)、『コスモスのはながさいたの』(フレーベル館)など。『たたんたん』(ひさかたチャイルド)で絵本にっぽん賞受賞。神奈川県座間市在住。

黒井 健
黒井健

イラストの黒井健さんは、新潟県新潟市生まれ。神奈川県川崎市在住。新潟大学教育学部中等美術科卒業後、出版社(学研)勤務を経て、フリーのイラストレーターになる。児童出版美術家連盟会員。色鉛筆を用いた独特の繊細な絵柄で知られる。主な作品は『あめってあめ』(ポプラ社)、『おしゃべりコアラ』(金の星社)、『ねこルパンのサンタクロース』(フレーベル館)など。1983年、第9回サンリオ美術賞受賞 2006年、第20回赤い鳥さし絵賞受賞。神奈川県川崎市在住。



[参考・引用]
[1]ワーゲンを抱きしめたい、片桐利博&信沢あつし、小学館
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Posted on 2008/11/26 Wed. 21:53 [edit]

category: picture books about automobile/クルマノエホン

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コメント

はじめまして&ありがとうございます

20年以上前に、地元局のラジオ番組の朗読コーナーで聞いた物語が忘れられずにいました。
タイトルも作者もわからず、絵本なのか児童書なのかの手がかりもなく、当時から捜索は困難だったのですが、それでも時折り思い出しては検索していました。
猫・車・絵本だけでは全くヒットせず、偶然にここに辿り着きまして探していた作品に巡りあえたのです。本当にありがとうございます。
黒井健さんが描いてらした…というのも驚きでしたけど、まだ書店で売られている名作だったのですね。市内の大きな書店で手に取ることができました。
かわいくて切なくて優しい物語に久しぶりに泣きました。

URL | ひろこ #-
2010/01/10 09:47 | edit

ひろこ様、
当ブログにご訪問いただきありがとうございます。
『絵本の探偵』としてお役に立てたこと、嬉しく思います。
本作がラジオの朗読に使われていたとは、知りませんでした。
黒井健さんの絵との相乗効果もあり、何とも切ない物語ですよね。
我が家の読み聞かせでもよく登場しましたが、
子どもたちがじーっと聞き入っていたことが印象的でした。

URL | papayoyo #-
2010/01/10 22:02 | edit

追記です

本を入手してから調べてみたのですが、その番組とコーナーは今でもあって、この作品は、その後も何度か朗読されているようなのです。
私が聴いた時も、朗読後の解説で読み手の方(俳優さん)が本当にこの作品が好きだったことが感じとれました。

URL | ひろこ #-
2010/01/11 13:17 | edit

想像をかきたてるもの

先日、地元横須賀市の児童読書感想画展に行ってきました。娘の絵が入選したので見に行ったのですが、どれも大変な力作でした。子供たちのイマジネーション、表現力は本当すばらしいですね。娘が題材に選んだ本は中高年向きの児童書だったので、挿絵もほとんどありません。読みながら場面を想像する、これこそ読書の醍醐味だと改めて感じました。
ラジオの朗読も映像がない分、想像力をかきたてられますね。読み手の力量にも依存するかもしれませんが、それだけ感動も大きいのだと思います。ひろこさんのように、一本の番組-おそらく数分程度の朗読だったでしょう-が20年以上も記憶から薄れない、本と同様すぐれた情報媒体だと思います。

URL | papayoyo #-
2010/01/12 22:32 | edit

初めまして。
現在小学6年生になりますが、1年生の頃、毎朝、読書の時間に絶対に読んでいた本が「ヤンと黄色いブルンル」でした。
ほぼ暗証するほど大好きで、ずっと忘れられません。
改めて思い出に浸る事が出来て良かったです。
ありがとうございました。

URL | さや #-
2010/12/14 18:37 | edit

さやさん、コメントありがとうございます。
小5のうちの娘と同じぐらいの方にも読んでいただいて嬉しいです。
暗証されるほど読み込まれたとは感心です。
それだけ心に響くものがある本ですよね。
最近、故障続きの愛車を売ってしまったので、私自身もこの本のように冷たく手放さなかったかと改めて思い返しました。

URL | papayoyo #-
2010/12/14 22:25 | edit

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