Bamgoo

竹の車、電気自動車だそうだ。この編み方がすごい。
愛称も「Bamgoo(バングー)」、Kangooみたいでかわいい。

娘が生まれた頃、8年くらい前の何かの報道番組で、近年京都(日本全体に言えるのかもしれないが)の放置竹林が増え、 生態系に影響を与えていることが話題になっていたことを思い出した。 竹林は放置していくと、造林地へ侵入し、林木の健全な育成を阻害したり、竹よりも背の低い植物が光を遮られ生息できず植生が単純化したり、枯れた竹が地域の景観を悪化させるといった問題が生じる。 なので、適度に間伐したり、筍掘りを行って竹林のケアをする必要があるのだが、昨今は輸入筍が増加したり、竹製品の利用が減ったりして、放置竹林が増えたのだそうだ[1]。

京都嵯峨野の竹林
京都嵯峨野の竹林

学生時代、ちょうど今時分の季節になると、母校工学部体育祭の前夜祭のために竹でやぐらを組んで、秋風の中、褌一枚でかついで市中を練り歩いた思い出がある。そのやぐらを組むのに使った竹は、大学裏手の肥後細川家の私有地の竹林から(許可をもらって)毎年切らせてもらっていた。 (こうやって書くと、わかる人にはどこの大学OBかわかってしまいますね)

このままいくと、京都、あるいは日本の原風景ともいえる全国の竹林が荒廃してしまう危険性がある。

このニュースを聞いた当時、竹が自動車部品に使えないかと考えた。植物を燃料ではなく、自動車部品に使うというバイオマス的発想は別にオリジナルでもなく、ちゃんとネタモトはある。

メルセデス・ベンツEメクラスに使われている天然素材製品
メルセデス・ベンツEメクラスに使われている天然素材製品

メルセデス・ベンツは、かなり昔から椰子の実の植物繊維(パームロック)をシートのクッション材や内装材として使用している。 ドイツを代表する大企業とアマゾンの人口200人の村が、対等なパートナーシップを結び、その村でゴミとして捨てられていたココナッツ殻を原料にして、村人たちがつくった部品を、ブラジルで生産されるすべての車両に装備している([2]Amazon解説より)。 パームロック材は、従来のウレタンなどの化学合成品よりも、人体に安全で車内の湿度を調整し空気を清浄にするという優れた性能があるとのこと。また、天然素材なので生分解性があり環境にやさしい。

振り返って竹。竹は軽量かつ剛性、弾性にも優れ、消臭や抗菌作用もある。 竹を車体に使うとは考えてもいなかったが、少なくとも内装材としてはうってつけの素材だ。 捨ててもエコロジーなのは、パームロック材同様天然素材の強みだ。 自動車部品という大量消費材に利用すれば、全国の竹林のケアにも貢献するし、竹の成長も早いので、継続的な資源確保が可能だ。ジャパンオリジナルという点でも竹には”日本”というブランドの記号性がある。 エジソン電球で使用された京都八幡の竹フィラメント以来、竹が世界中でブレークするかもしれない。

竹の繊維と植物由来樹脂を組み合わせた内装材(三菱自動車)
竹の繊維と植物由来樹脂を組み合わせた内装材(三菱自動車)[3]

などなど、この竹を使った持続可能な循環型ビジネスモデルを作ったら…
と思っていたら、当然ながら自動車会社は同じことを考えていた。三菱自動車は、竹の繊維と植物由来樹脂を組み合わせた内装材を2007年度から採用していた[3]。 うーん、遅かったかあ。

社会システムとしては、まだまだ大きな広がりは見られないが、前述のBamgooくんは京都大学のベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(VBL)のプロジェクトの一つ[4]であるし、京都大学には、竹林間伐ボランティア「竹の輪プロジェクト」[5]の活動もあるようなので、京大を中心に竹利用システムの輪が広がるかもしれない。

竹と自動車、もう少しウォッチングする必要がありそうだ。

[参考・引用]
[1]竹林について考えます、京都府山城広域振興局、
http://www.pref.kyoto.jp/yamashiro/no-nourin/bamboo01.html
[2]アマゾンの畑から採れるメルセデス・ベンツ、泊 みゆき、原後 雄太・共著、築地書館
[3]三菱自動車、竹の繊維と植物由来樹脂を組み合わせた内装材を2007年度から採用へ、Tech-On、
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060214/113292/
[4]「竹かご型電気自動車(愛称Bamgoo)」を開発、発表しました、2008年11月2日、京都大学ホームページ、
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2008/081102_2.htm
[5]竹林保全ボランティアイベント 竹の輪プロジェクト「竹林間伐ボランティア」、京都大学ホームページ、
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2008/080911_1.htm
[6]”Bamgoo”初公開、11月2日、京都電気自動車プロジェクト、
http://www.kyoto-car.jp/event/20081102.html

アマゾンの畑で採れるメルセデス・ベンツ―「環境ビジネス+社会開発」最前線アマゾンの畑で採れるメルセデス・ベンツ―「環境ビジネス+社会開発」最前線
(1997/12)
泊 みゆき原後 雄太

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