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楽しいクルマ絵本の世界/エンスーのためのクルマ絵本ライブラリー

せいそうしゃくん  

せいそうしゃくん

環境問題において最も身近な事がらが「ゴミ」の問題である。我々が生活する上で必ず発生するゴミ。そのゴミを毎日処理してくれる、縁の下の力持ちがゴミ収集車である。そのゴミ収集車が主人公の日米の絵本を紹介しよう。今回紹介するのは、「せいそうしゃくん」(横山隆一・作、フレーベル館キンダーブック)、昭和44年(1969年)の作品だ。

日本では機械式ゴミ収集車のことを「パッカー車」と呼ぶようだが、“packer”は英語では包装する機械のことで、ゴミを包み込むという意味に意訳した明らかに和製英語。英語では“Garbage Truck”と訳される。その「パッカー車」は子供たちにも人気の働く車の代表格。消防車やパトカーが横綱、工事車両が大関ならば、さしずめ関脇といったところだろうか。働く車の絵本でも、よく取り上げられる車両ではあるが、あまりメインとしては登場しない。消防やパトカーなどに比べれば、汚れ役でどちらかというと地味な存在。なのに子供たちは好きだよね、このクルマが。

マッチボックス Garbage Truck
マッチボックス Garbage Truck

かくいう私も子供の頃、マッチボックス社の“Garbage Truck”はお気に入りの一台だった。朝早く、ガーガーという音とともに気づくゴミ収集の風景は身近だし、あのゴミの投入口(ホッパーというそうだ)、投入したあとの圧縮工程は何かロボットのようで、メカニックなものが好きな子供を虜にする。そして、人が出した汚物を処理する、人のいやがること、でもやらないと人々が困ることをやってくれるゴミ収集車(作業者も含めてだが)にどこか尊敬の念を抱いているのかもしれない。

「せいそうしゃくん」その1

本書に登場するせいそうしゃくんも非常に働き者だ。でも一所懸命働きつづけると汚れてくる。からだをよく洗ってもまたじき汚れる。そのうち、町を走ると「臭い、汚い」ときらわれるせいそうしゃくん。とうとう、がっかりしてびょうきになってしまった。彼がいなくなって町は大変なことに。みんなが困っているのを聞いて、勇気を出して助けに行ったせいそうしゃくん。おかげで町は元通りきれいになった。みんなの喜ぶ顔をみて、彼は以前のように元気になった。我々の生活に不可欠な清掃車、感謝されることが、働くことのモチベーションの源泉だということなど、大人も考えさせられる内容が、この薄い絵本の中に盛り込まれている。

ごみ総排出量及び1人1日当たりのごみ排出量の推移
ごみ総排出量及び1人1日当たりのごみ排出量の推移[2]

本書が書かれた昭和44年というと、高度経済成長期に伴い、ゴミの総排出量が急激に増加し、社会問題化しはじめた時期だ。ごみの総排出量の推移データ[2]を見てみると、その後第1次オイルショックで一時期減少し、その後は微増で比較的安定していた。ところが、昭和60年頃を境に再び増加を始め、昭和の最後の頃に年間約5,000万トンに達した後、平成の時代はほぼ横ばいで推移している。厚生白書の分析[3]によれば、昭和60年頃から急増した背景には、家電製品といった耐久消費財の普及が昭和50年代に進み、60年頃からそれらがゴミとして排出されるようになってきたこと、この頃から生活スタイルが大きく変化し、使い捨て商品が増加し、従来リサイクルしていたものが捨てられるといった物のワンウェイ化が進んだこと(牛乳瓶が牛乳パックに変化したのもこの例)、コピーなど情報化が進みオフィスからの紙ゴミが増えたことなどが挙げられる。

「せいそうしゃくん」その2

平成時代の横ばい推移は、バブル崩壊による経済成長鈍化の影響もあるだろうが、その後の経済成長率の増加にも関わらずゴミの排出量が鈍化していることは、近年の環境問題の顕在化によりゴミを減らす意識が、自治体、事業者のみならず、個人レベルでも向上したことによるものと考えられる。ごみを減らす基本は、「まほうのクルマ工場」でも紹介した3R運動にゴミの発生源を断つ「Refuse」を加えた4Rである[4]。特にゴミの再資源化は、最終処分の廃棄物量を減らす上で、さらに進める必要がある。実際、ゴミのリサイクル率は年々増加傾向にある。それでも日本ではまだ20%弱が現状だ[5]。我々一人一人のちょっとした努力と工夫が、そのキーとなる。

まずはゴミの分別をきちんとしましょう。また、車での通勤時間が長いのでよく目にするのだが、車の運転中のタバコのポイ捨ては何とかならないものか。車の中に灰皿はあるでしょうに。カッコいいと思ってるのかなあ。時々、灰皿の吸殻を路上に捨てる非常識ドライバーもいる。見ていて非常に不愉快になる行為だ。こういう場面に遭遇すると、タスポ導入はポイ捨て禁止条例なんて甘い、法律で喫煙を全面禁止すべき!と思ってしまう。

とはいえ、一定の人口が生活している以上ごみがなくなることはないし、ゴミ収集車は今後もなくてはならない働く車であり続けるだろう。

横山隆一 フクちゃん
(左)横山隆一(右)フクちゃん

作者の横山隆一氏は、1901年生まれの高知県高知市出身の漫画家、アニメーション作家である。高知県立高知城東中学校(現・高知県立高知追手前高等学校)卒業。代表作は早稲田大学のマスコットキャラクターとしても有名な『フクちゃん』。2001年の没後「横山隆一記念まんが館」が故郷高知県に開館している[6]。

[参考・引用]
[1]パッカー車、株式会社トラックリンク、
http://www.trucklink.co.jp/truck/packer.htm
[2]ごみ総排出量及び1人1日当たりのごみ排出量の推移、JCCCA全国地球温暖化防止活動推進センターホームページ、
http://www.jccca.org/content/view/1664/585/
[3]厚生白書(平成2年度版)、
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaz199001/b0010.html
[4]ごみを減らす4R運動、堺市ホームページ、
http://www.city.sakai.osaka.jp/city/info/_kanji/gorisa1.html
[5]ごみの省資源化量とリサイクル率、統計局ホームページ、
http://www.stat.go.jp/data/nihon/g5926.htm
[6]横山隆一、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E9%9A%86%E4%B8%80



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Posted on 2008/06/30 Mon. 21:04 [edit]

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