超マイカー宣言! 動物かんきょう会議VOL.03

動物かんきょう会議

今年のGWもあとわずか。各地で大渋滞が引き起こされているが、この連休にいったいどれくらいのCO2が排出されたのだろうか。連休最後の日くらい、クルマでの外出を控えて、今回紹介する絵本「超マイカー宣言! 動物かんきょう会議VOL.03」(イアン(筒井一郎)・作・演出、マリルゥ(筒井公子)・作、アンデュ(安藤孝之)・絵、太郎次郎社)にもあるように、自動車とエコの問題を家族と一緒に考えてみてはどうだろう。

「動物かんきょう会議」その1

本書は「動物かんきょう会議シリーズ」という企画モノで、環境問題という堅苦しいテーマを、各国を動物に見立てて、ドイツの森に集まった彼らが、本音で7つのテーマについてコミカルにわかりやすく議論する絵本となっている。7つのテーマは「森」「ゴミ」「エネルギー」「食料」「海・川」「動物」、そして本書の「クルマ」である。既に4巻まで既刊であり、「食料」「海・川」「動物」はこれからのようだ。

この動物かんきょう会議シリーズは、1997年の「地球温暖化防止京都会議」に合わせてデザイン事務所「ヌールエ(nurue)」が企画した、インターネット版の“動物かんきょう会議”がベースとなっている。“動物かんきょう会議”は、同社のディレクターであるマリルゥこと筒井公子さんが留学先のドイツで、ブラジル出身の学生から「ブラジルの緑が減るのは、日本のワリバシのせいよ!」と非難された事件が発端となっている。帰国後、ご主人の同社社長、イアンこと筒井一郎さんと話し合ううち、このエピソードを“京都会議”に合わせた前述のホームページで物語にすることにした。それを2002年から絵本化したものがこのシリーズである[1]。

登場する動物は、ドイツ代表のハリネズミ、ハリィ。司会役の優等生(京都会議の議長国は日本じゃなかったっけ?)。わが国代表はタヌキのタック。他者から非難されてはオロオロドキドキ。大きなクルマに乗って何が悪いんだと、相変わらず悪ぶれないアメリカ代表のワシ、ワッシ。自然を愛するヨガ行者はインド代表のトラ、トラジー。ブラジル代表のワニ、ワニールは熱血漢ですぐにタヌキに議論をふっかける。イギリス代表、ウサギのDr.ラビは博識で情報通。険悪なムードの会議を和ませてくれるのは、ケニヤ代表、ゾウのゾウママ。今回は彼らが環境問題の大悪人、「クルマ」について議論を始めるのだが、大きなクルマに乗って会議に遅れてやって来たアメリカ代表ワッシに、欧州勢が噛み付く。空気を汚すクルマなんか作らなければいいと主張するトラジーに反対してワッシと同調したり、脱マイカー都市を紹介するハリィに感心したりと、どっち突かずの日本代表タック。ほんと、現実でも存在感がないトホホな日本。

「動物かんきょう会議」その2

先月17日、ブッシュ大統領が「2025年までに米国の温室効果ガスの排出量の伸びをゼロにする」との“目標”を発表した。「伸びをゼロ」である。つまり米国は今後17年間は排出量が伸び続けると宣言をしたわけだ。「大統領は温暖化に意味ある行動を示す最後の機会を見逃した」(米紙ワシントン・ポスト)など、評価は厳しいようだ[2]。国家予算のムダの削減に全く真剣に取り組もうとしないどこかの政府の行動様式とよく似ている。石油資本が政治に強大な影響を及ぼす“ワシ”の国では、排出量削減=脱石油の行動に移すことは無理なのか。原油価格の高騰は、先物取引など投資家のマネーゲームとも言われているが、最大排出国アメリカにここまでネガティブな行動をとられると、その投資家のバックには欧州を中心とした脱石油をもくろむ排出削減推進国がついている、といったうがった見方もしてしまう。

「動物かんきょう会議」その3

ハリィの紹介した脱マイカー都市、ドイツの“環境首都”フライブルクは人口20万人ほどの小さな町だが[3]、世界の大都市でも、中心部への過剰な自動車の乗り入れを制限し、渋滞や大気汚染を緩和する施策としてロードプライシングという制度が導入されつつある。要は大都市中心部に乗り入れる際に課金し、有料化することによって実質自動車の流入を規制するものである。このような制度は既にシンガポールやロンドンといった大都市で実施されている[4]。

ロンドンのロードプライシング
ロンドンのロードプライシング

東京都でもあの胡散臭い石原都知事が、2003年以降ロードプライシング導入計画の素案作りに取り組んでいる。課金対象区域は環状2号や山手線の内側といった4つの案が検討されている[5]。報告書では対象車種はすべての自動車となっているが、電気自動車や燃料電池車のゼロエミッションビークル(ZEV)は課金されないだろうし、ハイブリット車は課金料が低くなるだろう。クリーン車の普及が進むだろうし、メーカーの技術開発も加速されるはずだ。個人的にはあまり支持できない都知事であるが、日本国内でこれくらい思い切った政策に取り組もうとしている姿勢は評価してもよいのではないだろうか。有料高速道路に有料一般道では反対も多いだろうが、京都議定書の議長国から、このような大胆な政策がもっと提言されてもいいと思う。むしろ議定書の発信地であり、世界遺産でもある京都市が率先して検討すべきだ。

温暖化防止にブレーキをかける大国が存在する以上、他国はそれ以上の労を費やして、できるところから行動を起こしていかないと本当に手遅れになる気がする。電気をまめに消したり、クルマでの外出を控えるのも小さいけれど誰もが実行できる行動だ。「動物かんきょう会議シリーズ」には、買った人が他者と議論を深めるための仕掛けがいろいろ隠されている。たとえば、絵本の巻末に記されたID番号をパソコンに打ち込むと、インターネット版の動物かんきょう会議に参加し、各テーマごとに他者との意見交換ができる。そういう意味でも、この「動物かんきょう会議」は行動的なアイデアだ。この活動は、韓国や台湾にも輪が広がっており、絵本も韓国語版、中国語版が出版されているそうだ[6]。

筒井一郎
筒井一郎

本書の作・演出を手がける総合プロデューサー、イアンこと筒井一郎氏は、映画チキチキバンバンの発明家ポッツにあこがれ、いまだ現実と空想の中を放浪している自称発明家。幼少時代をニューヨークで過ごし、インド放浪・アジア・欧州への旅・ドイツそして日本での滞在。

BUJIコンセプト
BUJIコンセプト

巻末に、環境問題とは直接関係はないが、ワッシの発明品と称して人の死なないクルマの「BUJI」のコンセプトが紹介されている。上からみた形は三角形。エンジンは燃料電池。前輪一輪と後輪二輪の三輪車。後輪はインホイールモーターで左右独立にトルクを制御して操舵する。確かに三角形車体であれば、正面衝突でも、側面衝突でも互いの入射角が小さくなり、衝撃力は緩和されるかもしれない。絵本にしてはギミックな車両コンセプトではないなと思っていたらそれもそのはず。彼は、1988年から本田技術研究所㈱にて「自動車の安全技術」を研究していた機械工学科出のエンジニアであった。ホンダ創立30周年記念企画VISION21に参加し、90年にこの「人の死なない自動車のコンセプトnurue」が入賞している。

その後、日本の伝統工芸の職人・溶接工・設計・施工管理などを経て、1995年にデザインスタディオ・ヌールエ(1997年より法人)を設立。その間、国際・国内デザインコンペティションにて受賞・入賞作品多数。インターネットExpo'96への参加をきっかけにデジタルメディアの分野へ。制作したWebサイトは数知れず。最近の主なオリジナル企画に「動物会議」「maria vision」などがある。現在、株式会社ヌールエ 代表取締役。

[参考・引用]
[1]絵本で環境問題を考えよう、「BALL」journal、
http://i-debut.org/journal/j_disp.asp?code=397
[2]【地球をどうしますか 環境2008】ブッシュ米大統領 皮肉な“遺産”、産経ニュース、2008年4月28日、http://sankei.jp.msn.com/world/america/080428/amr0804280831001-n1.htm
[3]環境首都 フライブルク、大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館ホームページ、
http://www.german-consulate.or.jp/jp/umwelt/alltagsleben/freiburg.html
[4]ロードプライシング、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0
[5]ロードプライシング検討委員会報告書、東京都交通量対策課ホームページ、
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/jidousya/kotsuryo-taisaku/hokoku.html
[6]日韓で地球環境絵本。森林伐採、ごみ問題…、「BALL」journal、
http://i-debut.org/journal/j_disp.asp?code=458
[7]プロフィール、イアンは発明家!,mejiro style people’s magazine、
http://i-debut.org/ivalue/0000005/p01.htm


動物かんきょう会議 日本語版〈Vol.03〉テーマ・クルマ 超マイカー宣言動物かんきょう会議 日本語版〈Vol.03〉テーマ・クルマ 超マイカー宣言
(2004/06)
アンデュ、イアン 他

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はじめまして。

はじめまして。ひまじんです。
動物かんきょう会議、面白そうですね。
私は月に1度くらいしかクルマを利用しないのでそろそろ手放そうか・・と考えているところです。
もっぱら自転車を利用します。片道20km、往復40kmくらいなら自転車を使います。我が家のクルマ使用条件は厳しく、2人以上乗車 かつ 20km以上の道のり かつ 荷物が自転車に載らない場合です。(笑)
[ 2008/05/08 01:01 ] [ 編集 ]

エコ時代に生きる心得

ようこそ、ひまじんさん。
連休最後の日くらい、クルマでの外出を控えて…と書いたにも関わらず、結局利用してしまいました。天気もよかったので。
クルマの使用条件を厳しく決めていらっしゃるとは頭が下がります。エコ時代に生きる心得かもしれません。私は通勤に往復100km、毎日一人で乗車しています。
CO2が減らないわけです。
[ 2008/05/08 22:14 ] [ 編集 ]

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