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楽しいクルマ絵本の世界/エンスーのためのクルマ絵本ライブラリー

はたらくくるま みちをつくる  

みちをつくる

ふと気がついた。このブログでの絵本紹介も50冊を超えるまでになったが、はたらく車、特に建設機械に関する本を一冊も紹介していない。建機はクルマ絵本の中でも非常に種類の多いアイテムの一つである。名作も少なくない。それは子供に非常に人気があるからである。なのに一冊も。バランスを欠く選択だ。しかも私は土木技術者を父に持ち、(今の仕事は全然関係ないけど)私も大学で一応Mining Engineering(資源工学、鉱山工学)を学んでいるので建機とは縁が深かった。幼少の頃は現場にも連れて行ってもらったし、ミニカーと言えば建機だった。ということで、今回は建設機械の絵本「はたらくくるま みちをつくる」(こもりまこと・作、教育画劇)を題材に取り上げたいと思う。

暫定税率廃止

みちをつくる、今もっともホットな話題の一つであろう。道路特定財源の暫定税率は期限切れとなり、この4月よりガソリンは税率分の約25円/リットル安くなる(これも衆議院で暫定税率維持が可決されれば再び復活となる可能性が高い)。また、福田総理は、先月28日の緊急会見で09年度からの道路特定財源の一般財源化も提案している[1]。  

道路特定財源というのは、クルマの車体にかけられる自動車取得税と自動車重量税、燃料にかけられる揮発油税、地方道路税、軽油取引税、石油ガス税の6種類の税のことを指し、道路を整備するためにという目的で課税されている「目的税」である。また暫定税率というのは、1974年に「(道路整備)第7次五ヵ年計画(73~77年度)を受けて、利用者負担の観点等からこれらの税率を引き上げを図ることが”適当”と考える」という税制調査会の答申によって決定された。本来は77年度までの「暫定的な」処置だったはずが、新しい五ヵ年計画の出るたびに今まで継続され続けた。その増税額は当初の税率に対して、最大2.52倍(自動車取得税と自動車重量税も暫定税率で上乗せしているので、今回の暫定税率廃止で、自動車の価格も安くなる!)。しかも、この増額した税を当初の目的「道路整備」以外にも流用しようというのが「一般財源化」である[2]。

巨大事業 道路建設
巨大事業 道路建設

この国の政府は特別な日本語を使うようである。暫定的とは定常的、特定というのは一般ということらしい。私は道路を作るなとは思わないし、必要な道路は作るべきであると思っている。しかし、まず日本語を正しく解釈したロジカルな政策を実行してもらいたいし、そもそもの前提となる道路整備の五ヵ年計画というものが本当に妥当なのか、無駄な道路建設の実情を見るたびにきちんと精査してもらいたいと思う。

地方からの反論もあろうかと思うが(その反論も地方行政の声ばかりで、ユーザーである住民からの声が聞こえてこない)、現在の日本の最優先課題は「財政再建」と「環境改善」だ。これらは国家的、地球的課題であり、もはや待ったなしだ。これらのソリューションを考えたとき、今地方に効率の悪い道路を新たに作る余裕があるのか?エネルギー効率の最悪(=CO2大排出)な大都市圏の渋滞問題・物流問題の解決を最優先に考えるべきではないのか?

渋滞解決のための施策は?
渋滞解決のための施策は?

今は粛々と計画どおりに道をつくるのではなく、国家大計として道路行政を見直す時期。極端な話、道路整備予算は、それこそ暫定的に既存道路のメンテナンス・改修費(生活費)と、CO2削減を目的とした効率的輸送のための施策費(戦略費)のみに限定してはどうか。例えば、ETCや交通信号の高度化といった交通流制御技術の開発・導入を重点的に進めるとか。地方の首長さんも、もう“おらが県、おらが町”思考から脱却して、大局的な視点で議論して欲しい。

さて、みちを作るには莫大な金も必要だが、たくさんの道具も必要だ。その主な道具が建設機械ということになる。建設機械は機能優先の乗り物(道具)であるから、非常にわかりやすく、メカ然としている。しかも大きい。子供たちは巨大なもの、メカが大好きである。しかしながら、絵本に登場する多くの建機たちは決して無機質ではなく、非常に人間的である。なぜ、こんな機能の固まりに情緒性を感じてしまうのか。それは建設機械が非常に個性的であるからではないだろうか。形も様々、乗用車のように一様なデザインではない。ドーザーブレードは大量の土砂を運ぶ巨大な胸、クレーンのブームは重いものを軽々と持ち上げる豪腕、キャタピラーはどんな悪路でも走り続ける健脚、といった人間的な個性を持ち、ある種人型ロボットのような親和性に富む。

「みちをつくる」その1

「みちをつくる」その2

そんな道路建設に必要な建機たちに、これまでヒストリックカーがお得意であった「バルンくん」「ダットさん」の著者、こもりまことさんが挑戦している。決してデフォルメするわけでなく、非常に細かいタッチでリアルに描く。逆にこれが潔く、建機のメカニカルな面がよく表現されている。各ページは見開きとなっており、それぞれの建機の動きが把握できる仕組みだ。

「みちをつくる」その3

この作品に登場するキャラクターは8種類。リアルな描写にコマツの取材協力となれば、モデルの車種もある程度限定される。以下、調べてわかった各キャラクターのモデルを列挙しておく。(あくまで推測です)

ブルドーザーくん:コマツ社製D375A
ホイールローダーくん:コマツ社製WA380
ショベルくん:コマツ社製PC200-7GALEO
ダンプくん:不明。シルエットからベンツ社製のアクトロスかSKダンプ?
モーターグレーダー:コマツ社製GD825A
ぐるぐるダンプくん:コマツ社製クローラーキャリア(※)CD110R
クレーンくん:タダノ社製オールテレーンクレーンAR-1200M(FAUN社製ATF120-5)
ロードローラーくん:コマツ社製JV100WA

※一般に良く使われるキャタピラーは商品名なので、コマツでは”クローラー”と呼ぶ。

これら以外にも、表紙のみにチラッと登場しているのはコマツ社製のダンプトラックHD785のようだ。コマツといえば、露天掘り鉱山などで働くこの大型ダンプトラックがすぐにイメージされるが、今回はキャラクターとしては登場していない。なにせ道路建設なので、ここまでの積載能力は不要だろう。

渋滞の起点ともなる年度末の道路工事現場に遭遇すると、「またおんなじところを工事しやがって」とドライバーから白い目で見られがちな建設機械たち。彼らも漫然とした予算消化のために働くのではなく、本当に必要とされて一生懸命働きたいはずだ。そんな社会に早く変わるといいな。

[参考・引用]
[1]社説ウオッチング:道路一般財源化 首相提案、各紙が評価、毎日新聞、2008年3月30日、
http://mainichi.jp/select/opinion/watching/news/20080330ddm004070047000c.html
[2]ユーザーにも言わせろ!クルマの税は高すぎる、テリー伊藤+M.L.S.、WAC
[3]ケンキ王国、
http://www.kenki.jp/j_index.html
[4]農機・重機・何でも機械 写真集まれ、
http://bbs5.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=kikai&page=21
[5]Faun、Hydro-Crane-Club 油圧式起重機倶楽部、
http://www.hydro-crane.com/
[6]なるほどクレーン、TADANO Café、㈱タダノホームページ、
http://www.tadano.co.jp/tadanocafe/kidspark/naruhodo/index.html
[7]まちをつくるじどうしゃ、松本典久、井上広和・著、小峰書店

はたらくくるま みちをつくるはたらくくるま みちをつくる
(2006/08)
こもり まこと

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Posted on 2008/04/02 Wed. 21:10 [edit]

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