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まんがはじめて物語 明治時代のスーパーカー 自動車  

まんがはじめて物語 自動車

前回「日本の自動車の歴史」で登場した、国産初の自動車「山羽式蒸気自動車」について紹介した児童書に「まんがはじめて物語 明治時代のスーパーカー 自動車」(DAX International Inc・企画.、久保田圭司・原案、国際情報社 まんがはじめて物語5)がある。児童書といってもB5版で30頁ちょっとの小冊子というべきものであるが、それなりに歴史情報が詰まっており、なかなか使える。

山羽虎夫胸像
山羽虎夫胸像

1904年(明治37年)の岡山。この日は朝早くから岡山駅が賑わっていた。岡山市役所の東側、天瀬という場所にある山羽虎夫氏の工場、山羽電気工場で、国産初の自動車の試運転があるためである。山羽は、工場動力用の蒸気機関や発電機とモーターなどの修理製作を業としており、岡山在住の資産家 森房造と楠健太郎が山羽に製作を依頼していたものである[1]。余談だが、山羽は日本各地を渡り歩き、ここ横須賀の海軍工廠(あの追浜)でも技術を学んでいる[2]。

山羽式蒸気自動車
山羽式蒸気自動車

朝9時、工場の門が開くと、山羽の運転する自動車が轟音とともにゆっくりと出てきた。馬が引いていない車の登場に見物人たちはびっくり仰天。この国産第1号車は時速10~16km、それでも10人乗りの乗り合い自動車(バス)で、「山羽式蒸気自動車」と呼ばれた。

キーニョの蒸気自動車(上)とガーニーの蒸気バス(下)
キーニョの蒸気自動車(上)とガーニーの蒸気バス(下)

蒸気機関の仕組みは、ガソリンを燃焼させ、ボイラーの水を沸かし、その蒸気の力でシリンダを動かし、その往復運動をクランクを介して車輪を回す回転運動に変える駆動方式である。1769年、キーニョの発明した世界初の自動車、3輪蒸気自動車と同じ仕組みである。蒸気機関はガソリンエンジンやディーゼルエンジンと異なり、燃焼はシリンダの外で行われるので「外燃機関」と呼ばれる。一方、ガソリンやディーゼルエンジンはシリンダ内部で燃焼が行われるので、「内燃機関」と呼ばれる。キーニョ以来、内燃機関が主流になる20世紀初頭まで、蒸気機関すなわち外燃機関がクルマの主な動力源であった。「蒸気乗り合いバス」(英語ではsteam coachという)は1829年、英国の医師ガーニー(Gurney)が考案し、ロンドンとバースの間を時速15マイル(24km)で走行していたそうだ[3]。この75年後に遅ればせながら、日本人が独力で作った乗り合いバスが岡山の地を走ったのである。

「まんがはじめて物語」一部
丸いゴムの輪をボルト締めしただけのタイヤ(「まんがはじめて物語」より)

車台は木製、制作費は当時で12,000円、現在に換算すると4,000万円はかかった。タイヤも今では当たり前のゴム製タイヤが日本にはまだなく、鉄板を曲げて作ったリムに丸いゴムの輪をボルト締めした粗末な作りであった。当然速く走ることもできず、当時の舗装もされていない悪路ではすぐに輪ゴムがはずれそうになる。乗り心地も相当悪かったに違いない。この「まんがはじめて物語」では試走は成功したように書かれているが、実際はこのタイヤが命取りになって試運転は失敗したようだ。結局、このような費用面、機能面の問題から実用化はされなかった。その後、山羽虎夫はこの経験を活かし、1909年には独力でガソリンエンジンを完成させている。また、このエンジンを搭載した自動二輪車まで製作したすぐれた技術者だった。

おかやまの交通・今昔物語(劇画・郷土の歴史)

この技術者魂の詳細については、「おかやまの交通・今昔物語(劇画・郷土の歴史)」(太田 健一、広井 てつお・監修、石井 文男・画、岡山放送)の中の「国産自動車誕生物語、山羽式蒸気自動車が行く」に詳しく書かれている。Web上でも閲覧できるので参照されたい[2]。

さて、この「まんがはじめて物語」シリーズは全60巻が出版され、クルマ関係だと他にバス(16巻)、救急車(50巻)がある。もともとは1978年5月6日から1984年3月31日にかけてTBS系列にて放送された番組が元になっており、本書は第5話の放送内容を書籍に落としたもの[5]。私が中学生以降のことなので番組を見ていた記憶はないし、放送されていた記憶もない(当時は福岡在住だったのでローカル放送枠がなかったのかもしれない)のだが、大変人気を博した子供向けテレビ番組であったようだ[4]。

[参考・引用]
[1]山羽式蒸気バス、日本の自動車技術240選、JSAEホームページ、
http://www.jsae.or.jp/autotech/data/2-1.html
[2]岡山の先駆者たち2、国産自動車誕生物語、山羽式蒸気自動車が行く、岡山市企画局、
http://www.city.okayama.okayama.jp/museum/yamaba/index.html
[3]クルマが語る人間模様-20世紀アメリカ古典小説再訪、第1章クルマあれこれ、丹羽隆昭・著、開文社出版
[4]まんがはじめて物語、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BE%E3%82%93%E3%81%8C%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%A6%E7%89%A9%E8%AA%9E
[5]まんがはじめて物語 サブタイトルリスト・1、まんがはじめて物語の部屋、
http://mogbee.hp.infoseek.co.jp/h/h_sub1.html
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Posted on 2008/02/28 Thu. 21:46 [edit]

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