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日本の自動車の歴史  

日本の自動車の歴史

ダットさん」で日本のヒストリックカーが多数登場したところで、今回は日本のヒストリックカー図鑑、「日本の自動車の歴史」(山本忠敬・作、福音館書店、月刊「たくさんのふしぎ」通巻82号)を紹介しよう。子供の本とはいえ、日本の自動車の歴史を上手に美しくまとめている。自動車史を初めて学ぶ人にも、十分資料的価値の高い一冊である。

デフネのデモ走行(ビゴーの風刺画)
デフネのデモ走行(ビゴーの風刺画)

本書では、世界最初の自動車である1769年のフランスの軍人、ニコラス・J・キーニョの発明した3輪蒸気自動車に始まり、日本の自動車史については、1898年(明治31年)2月7日(本書では1月となっているがどうも2月が正解のようである)、東京の築地・上野間をデモ走行した自動車「パナール・ルバッソール」が、日本で最初に走った自動車の始まりとして記述されている。この車はガソリン車で、これまたフランス人のデフネという技師が日本に持ち込んだものらしい。

「石油発動自転車」試運転の記事
「石油発動自転車」試運転の記事

しかし、その他調べてみると、それに先立つ2年前、1896年(明治29年)1月19日に皇居前で「石油発動自転車」なるものが試運転されている。日本に輸入されたドイツ人のヒルデブラント&ヴォルフミューラー(以下H&W)により発明され、史上初めて量産されたガソリンエンジン付の2輪車、すなわちオートバイである。自動車の定義を何輪車にするかは意見の分かれるところであるが、人以外の動力源によって動く車両(=車輪の付いた移動体)という定義とすれば、後者が日本最初の自動車ともいえる[1]。

タクリー号
タクリー号

国産第一号の自動車も紹介されている。自動車の黎明期においては、蒸気(外燃機関)自動車、ガソリンやディーゼルなどの内燃機関自動車、そして電気自動車がしのぎを削っていたのだが、蒸気自動車の国産化がもっとも古く、1904年5月の「山羽式蒸気乗合自動車」が最初とされている。これについては次回詳細を紹介しよう。続いて1907年4月に東京銀座双輪商会の吉田真太郎が国産初のガソリン自動車「タクリー号」を完成させる。本書には紹介されていないが、少し遅れて1911年に東京電灯会社が輸入した電気自動車を基に、日本自動車㈱が試作したものが国産第一号の電気自動車とされている[2]。

「日本の自動車の歴史」一部
「日本の自動車の歴史」より

戦前戦後の名車も数多く紹介されており、ここでは紹介しきれないほどの詳細な資料本となっている。もちろん、「ダットさん」に出てきたトヨタ・スポーツ800(ヨタハチ)や「ダットさん」の一つ上のお姉さんとなるフェアレディ・1600、妹となるフェアレディZ(240Z)も、生産台数では欧米に追いつき追越していった1965年以降、日本自動車の隆盛期の項で紹介されている。

環境問題についてはソーラーカーのみ記述されており、日本が先行しているハイブリットや燃料電池車などには一言も触れられていない。また、2007年世界生産台数で、トヨタがGMを抜き世界一になったと先日報道されたばかり[3]だが、これもまた日本自動車史に残る快挙といえる。本書の初版が1992年とわずか15、6年前の書籍なのであるが、このわずかな間に日本における自動車を取り巻く環境が大きく変化したことを改めて認識させられた。日本が世界一、あるいは技術・文化的にも世界をリードするようになったことで、改めて本書の存在意義が増したように思える。この時期にこそ、日本の自動車史を振り返ることは重要だ。是非再販を望む。

本書の解説に作者・山本忠敬のことばが残されている。本書を執筆するにあたっては様々な資料を参考にされているが、参考文献の中には既に本ブログでも紹介済みの「世界の名車 絵で見るくるま文化史」や「LE AUTOMOBILI・1000 MODELLI DI TUTTO IL MONDO DALLE ORIGINI AD OGGI(自動車の本)」の名前が見られる。彼はこのような美しいイラスト入りの立派な大人の絵本を見つけて、わくわくするほど嬉しかったそうだ。そして、このような本を漁っていくうちに、自分がいつの間にか、イラスト入りの乗り物の本を手に入れることのみにこだわるコレクターになりかかっていることに気づき、自分は絵本を作る作家なのだと自己反省をされたそうである。この気持ちはよくわかる。私は、絵本を作れるような才能を持ち合わせていないので、コレクターになってしまったが、ただの蒐集家にならぬよう、このようなブログを通じてクルマの絵本、自動車の楽しさを啓蒙することで物欲主義を自己抑制していくつもりだ。

[参考・引用]
[1]日本自動車百年史、
http://www.kiwat.com/jmh/index_j.html
[2]電気自動車の歴史、
http://www.cev-pc.or.jp/h18_kouhou/rekishi.html
[3] 自動車生産台数、トヨタがGM抜き世界一に、読売新聞、2008年2月2日、
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080202-OYT1T00236.htm
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Posted on 2008/02/17 Sun. 02:33 [edit]

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