ぐりとぐら

もう一冊、ねずみと自動車本を紹介する。あの『ぐりとぐら』(中川李枝子・文、大村百合子・絵、福音館書店)である。『ぐりとぐら』がクルマノエホン?そう、『ぐりとぐら』ファンにはすぐわかりますね。一番最後のページに、ぐりとぐらが卵の殻で作ったくるまに乗って帰るシーンがあるのを。で、これもクルマ絵本の一冊。強引だろうか。

「ぐりとぐら」その1

あまりにも有名な本なので内容については多くは語らないが、この卵くるまのシーンはとても重要だと私は思っている。普通の絵本であれば、森のみんなでおいしいカステラを食べました、ちゃんちゃん!で終わるところ、敢えてもう一枚このお話を加えているのには意味がある。楽しい食事のシーンでは、料理で出たごみ、すなわち卵の殻の存在はすっかり忘れられている。しかし、当然ごみを残して帰ってはいけない、しかも捨てずにクルマまで作ってしまった。この一枚の絵の中に、後片付けの教えと、リサイクルの概念までもがメッセージとして投影されている、というのが私の感想である。毎年、花見の季節に大量のごみを残して帰る大人たちにもう一度読んでもらいたいものだ。

余談ではあるが、卵の殻とクルマは非常に密接な関係がある。自動車の車体構造の一種に「モノコック構造」というものがある。フランス語でmonocoque=一つの(mono)卵の殻(coque)という意味だけあって、この構造はよく卵の殻で比喩されることが多い。既出「スバル360」の設計責任者、百瀬晋六は、車体デザインを依頼したフリーの工業デザイナー、佐々木達三にモノコックボディーについて尋ねられた際、「薄い鉄板でつくるもので、卵の殻のように丈夫なボディーなんです」と答えたそうだ[1]。

Louis Béchereau
Louis Béchereau
出典:http://www.ctie.monash.edu.au/hargrave/deperdussin.html

モノコックは、フランスのドペルデュサン社の設計者ルイ・ベシュロー(Louis Béchereau)の発明で、捻れや撓みに強く、補助構造材を必要としないため軽量化が図れる車体構造で、オフロード車などの一部を除いて、現在の自動車の車体のほとんどがこの構造である。卵の殻が理想形であるが、実際はドアや窓など、開閉、開放部分が必要となるため、完全な卵とまではいかず、一般に普及しているモノコック構造とは、正確にはセミモノコック構造ということになる[2]。「ぐりとぐら」のクルマはまさに「モノコック」構造だ。

中川李枝子
中川李枝子

さて、作者の中川李枝子さんは1935年札幌生まれの児童文学作家。東京都立高等保母学院(現・都立高等保育学院)卒業。保母として働きながら、児童文学グループ「いたどり」の同人として執筆活動を行い、1962年『いやいやえん』で厚生大臣賞・サンケイ児童出版文化賞など数々の賞を受賞。その後も実妹の画家・山脇百合子とコンビで、数多くの作品を発表。代表作に『ぐりとぐら』『そらいろのたね』『ももいろのきりん』など。エッセイ集に『本・子ども・絵本』がある[3]。『ぐりとぐら』の誕生は1963年に遡る。私が1歳のときだ。そのときのお話は『たまご』というタイトルで、福音館書店の雑誌「母の友」に、読み聞かせのための物語として掲載されたのが最初なのだそうだ[4]。

山脇百合子
山脇百合子

画家の大村百合子さんは旧姓で、現在は山脇百合子。中川李枝子さんの実妹である。1941年東京都出身の絵本作家、挿絵画家。東京都立西高等学校、上智大学外国語学部フランス語科卒。同校在学中から『いやいやえん』(絵本)の挿絵を手がける。1967年『ぐりとぐらのおきゃくさま』(福音館書店)で厚生大臣賞受賞。他受賞多数。楽しい挿絵は、日本の子供ばかりでなく海外でも高く評価され、『ぐりとぐら』は9ヶ国語に翻訳されている[5]。

絵本からうまれたおいしいレシピ
絵本からうまれたおいしいレシピ

『ぐりとぐら』はおいしい絵本の代表的存在であるが、食いしん坊の我が家には食べ物絵本も欠かせない。おいしい絵本の情報は以下のおいしい雑誌が非常に楽しいので紹介しておこう。もちろん、『ぐりとぐら』はどちらの雑誌も1頁目を飾る。
・特集おいしい絵本、Pooka、2003年、Vol.04、学習研究社
・絵本からうまれたおいしいレシピ~絵本とお菓子の幸せな関係~、宝島社

本当はブログのカテゴリーに「うまいもの」「うまい酒」を追加したいところだが、おいしいもの情報はあまり人に教えたくない(ただ、うまさを表現する術に長けていないからである。うまいものは「うまい!」としか表現できないのだ)。それにしても、飲み食いのブログや個人ホームページはなんと多いことか。ミシュランガイド日本版も大好評のようだが、本当においしい店情報はTVや雑誌などよりも、ブログを参考する人が多くなっていると聞く。特にローカルな安くてディープでうまいお店は、地元の人が一番知っている。事実素人さんの評価は、素直にストレートで正直なので、けっこう侮れない情報源だ。

自動車の話なのかうまいものの話なのか、わからなくなってきたので今回はこの辺で。あー、年末年始の飲み食いで増量した体重と体脂肪を落とさねば・・・。



[参考・引用]
[1]【K-car】(7)「卵の殻」…頑丈かつ流麗な車体 八並朋昌、
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/70388/
[2]フレーム形式(自動車)、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%BD%A2%E5%BC%8F_(%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A)
[3]中川李枝子、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B7%9D%E6%9D%8E%E6%9E%9D%E5%AD%90
[4]ぐりとぐらの誕生、みんなの人気者、福音館書店ホームページ、
http://www.fukuinkan.co.jp/ninkimono/gurigura/birth.html
[5]山脇百合子、Wikipedia、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E8%84%87%E7%99%BE%E5%90%88%E5%AD%90
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